今回は我が家のラブラドールレトリバー(オス・12歳)における「肛門嚢アポクリン腺癌」の診断から治療の経過を記事にしています。
肛門嚢アポクリン腺癌は犬の皮膚腫瘍全体の約2%と比較的稀な腫瘍なので、同じ疾病で悩まれている方は情報が少ないので参考になれば幸いです。
以下の記事では犬の肛門や病巣、摘出された腫瘍などの画像がありますので、閲覧にはご注意下さい。
肛門嚢アポクリン腺癌とは
肛門嚢アポクリン腺癌は肛門嚢にできる比較的稀な腫瘍で、一部文献によると高齢で去勢していないオスに多い腫瘍といわれています(性差はないともいわれている)。
浸潤性が強く転移しやすい性質なので、発見時には既に約半分が転移しているようです。
症状は様々ですが、我が家の愛犬のように肛門周囲が腫大したり、便秘、食欲不振、破行(ふらつき)などにより発見されます。
肛門嚢アポクリン腺癌の治療
一般的には外科的治療が推奨され、転移を抑えるための放射線照射も同時に行われることもあるようです。
また、術後は補助的に抗がん剤(分子標的薬)等で癌の転移を抑制することが推奨されています。
肛門嚢アポクリン腺癌の予後
最近の報告では、治療を受けた犬の中央生存期間は544日。
この予後を左右する要因として、腫瘍の大きさ、高カルシウム血症の有無、転移の有無があげられます。

544日が長いか短いは微妙ですよね
肛門周囲の異変
ある日、肛門周囲が腫大(尻尾の周りがコブのように腫れ)、肛門の9時くらいのところに瘻孔そして炎症や出血が認められました。
思い返すと、その数日前から肛門腺から独特な臭いも出ていたように思います。

このような症状は昨年の前立腺肥大(昨年の手術と経過はこちら)による排便障害の前後たまに出現し、常備薬として処方されていたステロイド(プレドニン)を数日服用すれば治ってきた経過があったので、あまり大事とは思っていませんでした。
しかしながら、今回は常備薬では治らないようなので念のため受診したところ、「肛門嚢アポクリン腺癌」が濃厚と診断されました。

ここ1年は受診のたびに肛門周囲のチェックもしていたので、いきなり「癌」は「えー?」って感じだったな
手術を選択
上記で説明したように、転移の可能性が高く、また生命予後もあまり良くない癌であること、また年齢が12歳を超えていたので、手術を避け他の治療法を選択するケースもあるかと思いますが、夫婦で出した結論は「手術」です。

説明された術後の生命予後があまりに短く感じたので、手術をするかどうか正直揺れました

私は手術一択だったけど
辛い延命はさせたくないということは夫婦共通の思いですが、「癌」と診断された以外はとても元気だったので、術後の回復も信じることが出来ました。

術後・経過
摘出された腫瘍は、医師の見立て通り癌でした。

しかし、「リンパ節などに転移している顕著な所見は認められず」とのことで一安心。
これからは、転移や再発を防ぐために抗がん剤(分子標的薬)を使うかどうかを、経過を見ながら判断していくことになりました。
手術に伴う合併症としては、出血、感染、便失禁、肛門周囲瘻孔の形成があるようですが、今のところは以前からあった瘻孔(跡?)からの軽い出血がある程度で順調に回復しております。


医師の説明ではちょっとだけ毛を刈るって感じだったけど、結構刈られました(笑)
手術の費用
手術と術後2泊3日の入院、前後の受診や投薬料を含めると50万程度(手術と入院で約40万)でした。
また今後、抗がん剤(分子標的薬)を開始することになると、さらに高額な費用が必要になると思います。

昨年の精巣摘出手術と今回の手術を合わせると自分的には大きな出費です。これからも何があるかわからないので蓄えないとなー
まとめ
結果よければ全て良しではないですが、以前のように食欲旺盛で散歩も喜んで出掛ける姿を見ると、手術を選択して良かったと感じています。


最近は益々食事が美味い
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